さて今回は、ヘッジファンド手法の一つである「イベントドリブン」をご紹介したいと思います。
「イベントドリブン」とは、企業の合併・買収・破産・財務リストラ・子会社の設立など、企業経営上で起こる様々な出来事(イベント)を投資機会と捉え、将来への予測を行いながら行う投資手法の事をいいます。
いわゆる一般的な市場の変動とは違い、各企業の経営上に起る個別要因を投資機会とする為、市場がどのような環境下にあっても、着実なリターンを得ることを目的とした投資法です。
頻繁に起こる出来事としては、企業買収などがあります。例えば、A社が同業他社のB社を子会社化する目的で、“株式公開買付け”を仕掛けたとしましょう。
※株式公開買い付けとは、対象企業の株式の買い付けを、「買付け期間・買取り株数・価格」を公告した上で、不特定多数の株主から株式市場外で買い集める制度のことで、TOBと呼ばれることもあります。
さて、そのような出来事(イベント)が起きた時に、イベントドリブン主導のファンドマネージャーは、いくつかの推論を立てます。
すなわち、
1.A社が目論見通り、B社を子会社化できた場合
2.A社が行った公開買い付けが失敗した場合
3.A社とB社が和解し、業務提携などを結んだ場合
などです。
ファンドマネージャーは、それぞれのケースの可能性と、その際に株価がどのように変化するかを見極めながら、株式の売買を行っていきます。
この投資手法のメリットは、前述のように株式市場全体の変動にあまり左右されず、着実に収益を狙えることです。
反面、ファンドマネージャーの「イベント分析力」によって、パフォーマンスが大きく左右されることになります。
具体的には、ファンダメンタルズ分析、イベント分析、時間的要因分析などを総合して、判断することになります。
いずれにしても、ファンドマネージャーの“目利き力”が、非常に重要となる手法と言えます。