こんにちは!
さて、今年から新NISAが始まって、一気に名を挙げたファンド(投信)の一つが、“オルカン”ではないかと思います。
オルカンとは、MSCIが全世界株価指数として算出している「オール・カントリ・ワールド・インデックス(ACWI)」のことです。
世界の株式市場に「分散投資」していることから、NISAの「つみたて枠」などを活用して、購入している人が多くなっているファンドです。
5月末に、このACWIが銘柄の入れ替えを行いました。
そこで今回は、オルカンの銘柄入れ替えの内容とその影響について、考えてみたいと思います。
MSCIは、インデックスの銘柄入れ替えを、年4回定期的に行っています。
前回2月末には、101銘柄を除外し、24銘柄の追加を行いました。
前回注目を浴びたのは中国株で、66銘柄(8%相当)を除外、5銘柄を追加、765銘柄から704銘柄と、差し引き“61銘柄”の減少となったことでした。
そして今回目を引いたのは、日本株が15銘柄減少した一方、追加は1銘柄にとどまったことです。これで日本株の組み入れ銘柄数は203となり、ピークだった2007年の398銘柄から、約半減となっています。
ACWIは先進国23、新興国24の国・地域のスタンダード指数からなっており、ドル建ての時価総額順に銘柄選定を行っています。
日本株は、日経平均が34年ぶりに最高値を更新したにもかかわらず、相対的に“存在価値の低下”が続いています。
その最大の要因は、急激な「円安」です。
円建てでは6割高ですが、ドル建てでの時価総額は1割高程度となっており、ACWIの4割高に見劣りするのが現状です。
ACWIに占める日本株式の時価総額比率は、今回の銘柄入れ替えで、0.054ポイント下がり、5.19%と推計されます。
これによって、ACMIをベンチマークとするアクティブ運用における日本株の比率も低下することが考えられることから、証券会社の試算では、1600億円程度、日本株からの資金流出が生じると見込まれています。
MSCIに組み入れられる銘柄の目安は、世界の時価総額の上位85%に入る事と言われています。従って、超大型株が増えれば、組み入れ銘柄は、ますます減少することとなります。
実際に、34年ぶりの高値更新をした日本株ですが、この「円安局面」の中では、ドル建ての時価総額が他国に比べ、さほど増えていないため、指数の組み入れ比率が低下しているのです。
ただ、“分散投資”による「資産形成」という観点においては、出遅れていた日本株や今後成長が見込まれる中堅企業が除外されてしまうことから、いわゆる「オルカン」一本の“機会損失のリスク”も考えておく必要があります。
事実、私は自分の運用においては、複数のファンド(投信)に「分散投資」を行っています。インデックス運用においても、先進国、新興国、国内とそれぞれファンドの実績を比較しながら選定し、各ファンドへの配分比率も、その時々のマーケットの状況を観ながら決定をしています。
中長期における「資産形成」においては、やはり市場の“モニタリング(監視)”をしながら、ある部分、アクティブに対応する必要があるのではないかと考えています。
“分散投資”による「資産形成」にご興味がある方は、是非一度、ご相談ください。