今回はヘッジファンドにも多く用いられている「サヤ取り手法」について解説したいと思います。
一口にサヤ取りと言っても、様々な種類があります。
一般的には、株式市場や商品先物市場などを、対象にしているものが多いといえます。
株の現物と先物間の裁定取引、ワラントやオプションを使ったサヤ取り、商品先物市場においては、隔月間サヤ取り(スプレッド)、異市場間サヤ取り(アービトラージ)、異銘柄サヤ取り(ストラドル)などがあります。
ヘッジファンドにおいては、以前ご紹介したマーケットニュートラル手法などで、スプレッドやアービトラージで運用しているファンドが多くあります。
また、ヘッジ手法の一つであるイベントドリブン型ファンドでは、企業の吸収や合併の際に、その対象となる株式銘柄間で生じる価格のブレを取るサヤ取り手法を用いています。
※リスク・アービトラージと呼ばれています。
このように様々な種類の「サヤ取り手法」がありますが、基本的には市場の価格変動のブレ(上下動)を上手く利用しながら、確実に利益をあげていくのが目的となるため、いわゆる「低リスクミドルリターン狙い」のファンドが一般的です。
しかしながら、サヤ取りだから、全て低リスクかと言うとそうではありません。中には、投資資金にレバレッジを掛けて、投資するファンドもあるからです。
例.100万円の元金を担保に、さらに100万円を金融機関から借り入れて、投資資金を200万円にして投資を行うようなタイプのファンド
このケースでは、元本に対する投資効率は2倍になりますが、リスクも当然高くなります。すなわち、サヤ取りの狙いが外れた場合に、損失が2倍に膨らむと同時に、金融機関からの借入コストもかかってくるからです。
従って、このあたりは、必ずそのファンドの「ストラテジー(運用戦略)」を確認する必要があります。
ちなみに個人的には、商品先物を使ったストラドル、アービトラージ、スプレッドなどを行ってきましたが、一番低リスクで、実績が高かったのは「スプレッドのサヤ取り」でした。
ご参考まで。