こんにちは。
先週ご案内した米ワイオミング州ジャクソンホールにおける年次シンポジウムでのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長発言は、株式市場にとっては、想定していたシナリオの中では、“ほぼ最悪”に近いものでした。
市場の勝手な楽観予想を一蹴し、インフレを徹底的に抑えるという内容の発言だったからです。
この発言を受けて、NYダウ平均は前日と比較して1,008ドル、率にして3.02%下落しました。そして週明け、8月29日の日経平均も同様に762円安と、2.66%も下落しました。
ただ、「ほぼ最悪」と上述しましたが、あくまでも、目先や短期的な影響という意味での最悪です。よく考えてみれば、極端なインフレがずっと続くよりは、どこかである程度許容できる水準に収まってほしいですし、そのために中央銀行が金利をコントロールすることは、ある意味では当然すぎる話でもあります。ただ、「景気を冷やしすぎるといけないので、そろそろ手綱は緩むのでは」と楽観的期待をしていた市場の思惑は完全に吹き飛ばされたことは確かです。
とはいえ、考えようによっては、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、市場はすっかり0.5%の金利引き上げだと予想し、実際には0.75%の引き上げで大きなショックを受けるよりは、ここで、もう“0.75%は既定路線”と織り込んでしまった方が、中長期的には良かったのかもしれません。
いずれにせよ、気分転換の早さは市場の専売特許ですので、今後も、雇用統計、消費者物価指数など、インフレの状況を考えるのに重要な数字が発表される度に、急騰、急落を繰り返す相場展開が続きそうです。
市場の直接参加者が一喜一憂して、その度に大騒ぎするのは、彼らの仕事の一部でもあるからです。
しかし、中長期での資産形成を考えている方が、一喜一憂される必要は、全くありません。いつも申し上げている通り、こうした変動が激しい相場は、中長期での運用を考えている方には、むしろ“好機”だからです。
そのためにも、まずは、しっかりと“資産形成”の計画を立てるところから始めましょう。