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さて、新型コロナウイルスによる金融市場の混乱は、ヘッジファンド業界も直撃しています。
米国ヘッジファンド・リサーチ社によれば、業界全体の運用成績を示すヘッジファンド指数は、3月下旬時点で、“-8.6%”となり、2008年の金融危機以来のマイナスを記録しました。
特に、下落が大きかったのは、株式の買いと売りを組み合わせる「ロングショート戦略」で、下落率は13.5%にまで落ち込みました。
これは、2003年3月以降、最も悪い数値です。
「ロングショート戦略」は、今まで好調を維持してきたこともあり、ヘッジファンドの運用資産全体の約3割を占めています。
それだけに、ヘッジファンド業界にとっては、大きな痛手となっています。
この大幅な下落を受けて、ヘッジファンドから撤退した運用会社も出てきました。
特に、多数の戦略(マルチ戦略)で、「プラットフォーム型」のヘッジファンドは、そのチーム単位で、業界を後にしているケースも散見されます。
ここ数年、株式のインデックスに勝てないなど、資金流入が鈍化していたヘッジファンド業界ですが、今回の市場の大暴落により、さらに大きな痛手を被ることとなりそうです。
ヘッジファンドのもともとの目的は、「絶対収益」を上げることにありました。
高い運用収益を出すことよりも、いかに「安定した運用」を行えるかが、その当初の目的だったわけです。
それが近年、様々な運用手法が現われ、またレバレッジをかけることによって、より高い「リターン」を求めるファンドが続出しました。
結果として、リスクの高い運用を行ってきたため、今回のような市場の乱高下に、対応できなかったヘッジファンドも多かったようです。
運用会社も、本来のヘッジファンドの役割に立ち返ると共に、投資家も、目先のパフォーマンスを求めるだけでなく、リスク度合いや運用戦力を事前に確認し、目的に応じたヘッジファンド選別が必要な時期に、来ていると言えるでしょう。