こんにちは。
さて、今回は、昨今の相場の乱高下の中で、中央銀行の役割とプレッシャーについて考えてみたいと思います。
先週8月23日に日銀の植田総裁が、国会閉会中審査で発言をしました。
また日本時間の同日夜には、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がジャクソンホールでスピーチを行いました。
この結果を受けて、同日のNY市場では株価は大幅高となりました。一方、週明け26日の東京市場では、「円高」が重しとなり、日経平均は、254円安の38,110円で引けています。
いろいろな見方はあるとは思いますが、一連の動きを観ていて感じるのは、ひと頃と比べて、中央銀行の役割の重さが極端に大きくなっていることです。
「財政金融政策」といった言葉が、以前はよく使われましたが、リーマンショック以降、どこの国も財政赤字のため、ほとんどの政策の負担が中央銀行に押し付けられています。
米国の例を観ると、確かに、他国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会の2大使命が、“雇用の最大化”と“物価の安定”にあることは事実です。
今回のパウエル議長のスピーチでも、「インフレが上昇するリスクは減じている一方、雇用の下振れリスクは上昇している」と述べています。
そして、
「The time has come for policy to adjust(政策を調整する時は来た)」と明確に述べています(英文出所:FED HP)
これによって、市場の9月の利下げへの期待は確信に変わり、今後のインフレ指標次第で、「0.25%か0.50%か、また年内にはどれだけ下がるのか」が焦点となってきました。
インフレが進めば、FEDのアクションが遅すぎたと非難され、少し雇用状況が悪くなってくると、今度はFEDの政策金利引き下げが遅すぎたという意見が出てきます。
インフレをうまくコントロールし、雇用を守るのは中央銀行の責任と言うのは簡単ですが、経済がうまく回るかどうかは、金融政策だけでコントロールしていくには限界があります。
そういった観点からすると、中央銀行頼みの市場の期待感が過剰になっていないかどうか、それが結果的に市場の乱高下を増幅していないかどうかについて、ただ一喜一憂するのではなく、冷静に市場を注視していくことが、重要と言えるでしょう。