こんにちは!
さて、最近にわかに、政府や各省庁から、「人生100年時代」が強調されるようになってきました。
「100歳」以上の高齢者は、昨年の「老人の日」時点で、6万9785人と増加傾向にはありますが、とはいえ、人口比でいえば、わずか「0.0005%」にしか過ぎません。
では、なぜ、政府は声高に「人生100年」を、唱え始めたのでしょうか!?
今回は、その背景について、考えてみたいと思います。
1.「100年安心」だったはずの日本の年金制度
皆さんは、「日本の年金は100年安心」といったキャッチフレーズを覚えているでしょうか!?
15年前の2004年6月1日に、当時の坂口力厚生労働大臣が、以下のような発言をしました。
「100年安心にしていくという案を作ったわけでありますから、それに向かって政策努力を重ねていくということが、与えられた課題であると思っております」
また、当時、与党が、将来の年金について、「100年安心のパンフレット」を作ったという話も聞いたことがあります。
いずれにしても、当時、国民に負担を強いる年金法制の改革を行った際、政府が強調したのは、「100年安心」でした。
あれから、たった15年。
この“安心の意味”について、政府の見解と、私たち国民が想っていたこととは、結構大きなギャップがあることが、わかってきました。
その一つの例が、今回の「老後に2000万円不足する」というワードに、凝縮されているようです。
2.「日本の公的年金の現状」
現在、公的年金の運用は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が行っていますが、GPIFのHPを観ると、運用資産額は150兆6630億円と、世界最大規模のファンドを維持しています。
直近の公表している運用実績はというと、2018年度第3四半期の期間収益は-9.06%、額にして約14.8兆円のマイナスとなっています。
とはいえ、2001年度からの市場運用での利回りは、年率2.73%、累積収益額56.7兆円の実績を残しており、国債だけに頼っていたころに比べれば、十分結果は残しているのではないかと思います。
市場において、「ポートフォリオ」運用を行っていること自体は、個人的にも良いことだと思っていますし、また、その結果も残せています。
ただ問題なのは、運用がある程度順調に進んでいるにもかかわらず、「公的年金の枯渇化」が懸念されていることです。
厚労省では、5年に一度、公的年金制度の「財政検証」を公表しています。財政検証は、いわゆる100年先まで見通した年金財政の“持続性”の確認を行うためのものです。
具体的には、現役世代の手取り収入に対する年金額の割合を示す「所得代替率」の推移を、異なる経済前提のもと、6つのシナリオで公表を行います。
例えば、月々50万円の手取りがある世帯で、30万円の年金を受け取れれば、代替率60%ということになります。今回の検証では、夫婦2人世帯の場合で、所得代替率50%以上は出る見込みとされていますが、急激に進む「少子高齢社会」のもと、予想より低い代替率になる可能性も十分考えられます。
このままであれば、いずれ代替率が50%を切ることも、私たちは、想定しておく必要がありそうです。