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さて、ここにきて、私たちの通貨「円」の実力が低下傾向となっています。
通貨の実力を示す「実質実効為替レート」が、7月74.31と、53年ぶりとなる1970年9月以降の最低値を付けました。
これは、1米ドル=360円だった固定相場制の時代と、ほぼ同水準です。
要因としては、物価が伸び悩んでいること、そして長引く日銀の金融緩和が考えられます。
円の実効為替レートが最も高かったのは、1995年4月で、当時と比べると円の購買力は、6割も減少しました。この30年間、デフレから脱却できず、円は主要通貨の中で、類を見ない下落率となっています。
マクドナルドのビッグマックの価格を比較する「ビッグマック指数」でみると、日本では現在、通常店では450円で販売されており、これは1995年4月から15%の値上がりにとどまっています。
※ちなみに、余談ですが、準都心店では470円、都心店では500円とのこと。場所によって、価格が違うのを、今回調べて初めて知りました。
一方、米国では、5.58ドル(約840円)で販売されており、この間に2.4倍にも値上がりしました。直近で米国に行かれた方は、物価が高く、買い物にも苦労されたのではないかと思います。
従来、日本の「円安局面」は、輸出企業を中心に業績を伸ばすチャンスでしたが、コロナ禍前の2019年に比べ、2022年は20円ほど円が下落したにもかかわらず、輸出数量は3%減少しました。
主要因は、企業の海外進出が進んだことにあります。経済産業省によれば、2021年度の国内企業の海外生産比率は、過去20年で約2倍の26%にまで高まりました。
その結果、「円安」により輸入価格が上がった半面、輸出が伸びないため、海外との貿易で稼ぎやすさを示す「交易条件」は、95年4月時と比べ、48%も悪化しているのです。
“人口減少国家である日本”が、国力を回復するためには、企業の生産性の向上を高めるしかありません。それによって、インフレに合わせ、企業業績を伸ばし、賃上げにつなげていくというサイクルが必要となってきます。
「資産形成」の面においては、預貯金は今後ますます目減りしていきますので、国内での運用はもちろん、外貨での「資産形成」にも引き続き、取り組んでいく必要があると言えます。
その為には、国内においては「新NISAのフル活用」、そして外貨を用いた「海外分散投資」も一部加えられるのが、理想的な組み合わせではないかと考えています。