こんにちは!
さて、前回は、企業年金の「積立不足」を取り上げましたが、「確定給付型年金」を採用している企業の中には、将来の運用悪化に備えるために、「リスク対応掛け金」と呼ばれる積立を行っている企業もあります。
「リスク対応掛け金」とは、金融危機などに備え、年金会計上、必要額を超えて、掛け金を積み立てておく制度です。
掛金は、税務上、損金扱いにできるため、体力のある企業は、将来の“リスクヘッジ”のために、この制度を利用しています。
2017年から認められた制度で、年金資産の20%程度を、積み立てしている企業が多いようです。
ただ、今年に入り、この「リスク対応掛け金」にも、異変が観られています。
2020年1-9月での件数は、95件と、前年同時期に比べ約1割減少しました。
前回取り上げた通り、「割引率」の引き下げに備え、本来であれば、積み上げておきたいところではありますが、コロナの影響によって、企業業績や財務状況が見通せない企業が増加し、手元資金を確保するために、「リスク対応掛け金」を、抑制している企業が多いと考えられます。
いわゆる“退職給付債務”が、企業に与える影響も、コロナによって、徐々に大きくなっている状況と言えるのです。
さて、次回は、このような厳しい状況下において、さらに、企業年金に追い打ちをかけることとなる「企業年金保険の利率引き下げ」について、観ていきたいと思います。