こんにちは!
さて今回は、「日本の公的年金の現状」について、確認しておきたいと思います。
日本の年金運用は、ご存知のように「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が行っています。
2023年全体では、34兆3077億円のプラスとなり、年間ベースで過去最高の記録を更新することができました。
2022年末が189兆円の運用資産額だった為、年間収益率は“18.2%”と、2桁の成長を遂げ、23年末の残高は約224兆円となっています。
このようにGPIFの運用自体は好調を維持していますが、今回は、“公的年金の仕組み”の側面から、今後の私たちへの影響について、考えてみたいと思います。
公的年金の2024年度の支給額は、2年連続で増額となりました。ただし、支給額は増えますが、物価や賃金の伸びよりは抑制される「マクロ経済スライド」の発動も2年連続です。
抑制される前の本来の改定率は、物価上昇率と名目手取り賃金上昇率を基に計算されます。今回の試算では、2023年通年の物価上昇率を3.2%、名目賃金の上昇率を3.1%とし、調整率を0.4%と設定したため、支給額は前年比で2.7%引き上げられましたが、生活者の肌感覚としては、“0.4%”分が実質目減りすることとなります。
マクロ経済スライドとは、年金財政を長期的に安定させるために、支給額の増額幅を、物価や賃金の伸びより抑える仕組みのことです。
従って、支給額は上がっても、物価上昇分にはならないため、その分、年金暮らしの方にとっては、生活は苦しくなると考えられます。
厚生年金のモデルケース(67歳以下の夫婦2人)に改定率を当てはめると、2024年度の支給月額は23万319円となり、年間で10770円ほど、給付が抑制されます。
ただ、同制度の問題点として指摘されてきたのは、物価や賃金が下落するデフレ下では、“スライドを発動しないルール”となっていることです。
実際に、日本は、長期にわたって「デフレ経済」であったため、同制度が発動されたのは、過去2015年、2019年、2020年、2023年の4回しかありませんでした。
その意味においては、この20年間、年金を「払いすぎる状態」が続いていたと言えるのです。
仕組み上、払いすぎた年金は、将来世代の給付を抑えることで帳尻を合わせる必要があります。
2004年の見通しでは、給付の調整は今年で終了する予定でしたが、今は、2046年度まで抑制が続くと試算されています。
ただし、この試算自体も、“現状の人口構成”で考えられているものです。
近年の出生数の急激な減少を考慮すると、年金受給者の支給額は確実に目減りすると共に、“ツケの先送り”の影響から、現役世代への負担も、さらに重くのしかかる事は、ほぼ間違いありません。
従って、今後は、公的年金だけで、老後の生活設計を行うことは、難しい時代になるということです。
イデコなどの私的年金の活用は大前提として、今年から制度が拡大された「新NISA」などもフル活用して、将来に備えていく必要があります。
公的年金の運用は、GPIFに任せるとして、自助努力による「資産形成」への取り組みは、今や国民全体の課題となりました。
まずは、ご自身の資産内容の“現状把握(分析)”を行い、そして、しっかりと“計画”を立ててから、取り組んで頂きたいと思います。
実際に、どのように進めたらよいのか、よくわからない方、また少しでも不安や迷いがある方は、一度、「初回無料相談」を活用してみてください
取り組むべきことの“方向性”が観えてくると思います。