こんにちは!
さて、国内の投資マネー動向について、最後は、今話題の“ESG債”です。
ESG債とは、資金の使い道を環境対策や、社会問題の解決に限定した債券を指します。
具体的には、環境関連に資金を充てる「グリーンボンド(環境債)」、感染症拡大防止など社会課題の解決に使う「ソーシャルボンド(社会貢献債)」、そして、両方を目的とした「サステナビリティボンド」の3つに分けられます。
準備から発行まで、通常3-4カ月かかるため、通常の債券に比べ、手間とコストがかかるといったデメリットがあります。
そんな中、2020年度の4-11月のESG債の発行額は、1兆6574億円となっています。
内訳は、「サステナビリティボンド」が、前年から94%増加し3380憶円、市場規模の大きい「グリーンボンド」も、前年比20%増加し、6654億円が発行されました。
国債を除く国内の円建て債券の発行額に占める割合は、8%にまで増加し、企業の資金調達の手段として、その存在感が高まっています。
さらに、現在、金融庁の機関投資家向け行動指針(スチュワードシップ・コード)においても、ESG投資を考慮して運用しているかの開示が求められており、そのことも、後押ししているようです。
発行サイドである企業が、ESG債を増やしているには理由があります。
一つ目としては、社会性が高い資金調達のため、普通社債に比べ、利率を抑えた起債が可能なことが挙げられます。
二つ目としては、これまで資金の出し手にはなりにくかった学校法人などにも、購入が広がっており、資金調達先の拡大に繋がるからです。
とはいえ、世界と比較すると、日本のESG債の発行は、まだまだ少ないのが現状です。
ESG債の発行割合
欧州 | 45% |
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中国 | 20% |
国際機関 | 11% |
北米 | 9% |
アジア太平洋 | 7% |
日本 | 3% |
その他 | 5% |
上述の通り、現状では、日本は、世界全体の3%程度しかありません。
ただ、昨今の地球温暖化対策や、コロナ対策が重要なテーマとなっている今、今後、日本においても、ますますESG債の発行が増えることは、間違いないと言えるでしょう。
今後の“投資マネーの動向”にも、引き続き、注視していきたいと思います。