こんにちは!
さて、最近、米国の株式市場を中心に、“SPACの上場”といった言葉が、頻繁に聞かれるようになってきました。
SPACとは、日本語に訳すと、「特別買収目的会社」のことです。
具体的には、企業買収を目的に、中身の実体がない「空箱企業」を、上場させることです。
上場後に、成長が期待できる企業と合併することにより、“短期間で上場企業を作り上げること”が目的です。
通常、スポンサーと言われる設立者が、投資家から資金を集め、上場から2年以内に、買収対象となる未公開企業を探し、株主総会の承認を経て、合併します。
アメリカの調査会社によれば、2020年に新規上場したSPACは248社と、過去最大だった2007年の66社を、大きく上回りました。
さらに、今年に入ってからも、すでに250社を超えています。
日本においても、ソフトバンクグループ傘下の投資ファンドが、SPACを用いたことが、話題に上っています。
一般投資家にとっても、SPACに投資することによって、通常のIPOに比べて、少額かつ、短期間に上場できることから、人気が集まっているようです。
ただ、問題がないわけではありません。
それは、スポンサーと投資家との間で、「利益相反」が起きる可能性があるからです。
一般的に、SPACの資金調達は、数億ドルに上りますが、スポンサーが当初出資するのは、数万ドル程度です。
それが上場後には、スポンサーの持ち株比率は、20%程度に設定されています。
従って、スポンサーは、まさに少額投資で、大きな利益を獲得することができるのです。
ただそのためには、2年以内に、何が何でも、合併先を見つける必要があります。
期限が近づいてくると、“あまり成長が期待できない企業”であっても、合併を優先するのではないかとの懸念があるのです。
実際に、保有技術の誇大広告や、虚偽記載などが発覚し、株主集団訴訟になっているケースも散見されています。
世界的な「金余り」の中、短期間で資金調達したい企業と、短期間で利益を獲得したいスポンサーと投資家、好都合な「空箱」ですが、そこにリスクが内在していることも、十分理解しておく必要があるようです。