こんにちは!
さて、年内最後のブログでは、今年の「未公開資産ファンド」の動向を見ておきたいと思います。
未公開資産ファンドとは、プライベートエクイティ(PE)と呼ばれる未公開株やベンチャーキャピタル(VC)、不動産などに投資を行うファンドのことです。
英国の調査会社プレキンによれば、過去最高の資金流入があった2021年に比べ、今年は前年比約9%減少すると予測しています。
最大の要因は、インフレや金利上昇の影響で、高いリターンが出にくくなっていることです。一般的に、PEや不動産ファンドは、投資家から資金を集めると共に、銀行からの借り入れを組み合わせて投資を行うため、金利が上昇している局面では、利払いが増えて、利益が出にくくなるからです。
また、VCは主に投資先を上場させて資金回収を行いますが、インフレや利上げの影響で、株式市場が軟調に推移しているため、上場が難しい状況となっています。
予測では、今年の未公開資産ファンドの資金調達額は約1兆1600億ドル(約157兆円)と2年ぶりに減少すると見られています。資産別には、PEが21%減の約440億ドル、不動産ファンドも25%減少し、約1500億ドルと見込まれています。
ただ、そのような中においても、調達額を伸ばしている資産(分野)もあります。その一つが、インフラ系のファンドです。世界的に再生可能エネルギーの開発が進む中、インフラ投資の拡大が進んでいるからです。
また、プライベートデット(PD)と呼ばれる企業向け融資も拡大基調となっています。PDは、貸付金利を一定期間で改定するため、市場金利の上昇に対応できることが評価されているようです。
全体としては、資金流入が減速した未公開資産ファンドですが、中長期的には、拡大基調が続くと予測しています。それは、機関投資家をはじめとする運用主体が、従来の上場株や債券での運用に偏ることを避けるため、オルタナティブ資産としてのニーズが強くあるからです。
現在は、主に機関投資家向けのファンドが大半ですが、直近では、個人投資家も投資できるファンドの設定も始まりました。
今後の「未公開資産ファンド」の動向も、注視していきたいと思います。
では、皆さん、良き年をお迎えください!