さて、 今回は久々に“為替”について、取り上げてみたいと思います。
最近、ドル円の為替レートは、120円台で推移しています。
ここ数年、ドル円レートは、円高でも100円を割れることはなく、逆に円安でも115円を超えるようなこともない状況が続いていました。
ただ、今年に入ってからは、米国の金融政策が市場の予想より“タカ派的”だったことや、ロシアによるウクライナへの侵攻、それに伴う原油価格の高騰などの要因が絡み合って、3月下旬からは120円台で推移しています。
為替レートは、2国通貨の単なる交換比率ですので、株式や債券の価格とは意味が根本的に異なります。それでも相場ですので、最後は、買う側と売る側の需給関係とそれに対する思惑で決まります。
いろいろな要素が絡むため、為替レートそのものの予想は、大変難しいですが、その相場の成り立ちゆえに、ある種の傾向があります。
ドル円の場合であれば、「動いてほしくない方向に動きやすい」という事が言えます。以前のように、物を日本で組み立てて輸出する金額の方が、原油等を輸入する代金よりはるかに大きかった頃は、手にいれた外貨を円転する金額が大きいため、円高方向への力がかかりやすくなります。
ところが今のように、製造業の海外進出が進んで、海外で物を製造して、海外で直接渡すとなると、日本には、せいぜい海外子会社の配当分しか入ってこなくなります。また、昨今のように、原油価格が100ドルにもなれば、当然、輸入に必要なドルは膨大な金額になるため、貿易収支の観点からは、円安への圧力となります。
物の受け渡しだけが為替レートに大きな影響を与えるわけではないですが、ここで申し上げたいのは、受けとる外貨が多くて、本当は円安の方が手取りが増えるときには、残念ながら円高圧力がかかるということです。
逆に、今のように、払う外貨が多くて、円高の方が用意する円が少なくて済むときには、円安方向への圧力がかかりやすくなります。これはほんの一例の現象ですが、このように為替レートは、「本当はそちらへ動いてほしくない」という方向に動きがちなのです。
4月になって、多くの商品が値上げされました。電気もガスも値上げです。
こんな時には、円高になってほしいものですが、なかなかそう都合よくはいきません。
国レベルでも簡単にコントロールできない為替水準や物価に対して、個人でできることは、“備える事”だけです。
今後、さらに円安が進み、物価が上がっていくことも想定し、今のうちに「資産形成法」を見直しておく必要があります。
「円安」や「物価上昇」に耐えうる資産形成法が、よくお分かりにならない方は、是非このタイミングでご相談ください。