こんにちは。
さて、今回は、外資系銀行にみられる「為替オプション付仕組み預金」を取り上げてみたいと思います。
商品自体は「預金」ですが、ただ単に固定金利で預けるのではなく、為替変動によって、受け取るときに「円」のまま受け取るか、「外貨」で受け取るかが変わってくるという商品です。
この金融商品を購入する際には、まず2つのことを決めます。
ステップ1
まず、契約当初に、現在の為替水準に対して、どれだけ「円高」になったら、満期時に外貨で受け取ることになるか、条件を決めます。
ステップ2
次に、契約時との為替の“差”をいくらにするかを選択します。これによって、受け取れる金利が変わってきます。
では、具体的に見てみましょう。
例えば、現在1ドル=100円として、100万円を預けるとしましょう。まず、このときに、この100円よりどれだけ「円高」になったら、外貨受取となるかについての設定を行います。
例えば、1カ月物の預金金利は、その“差額”によって、以下のように設定されています。
差額0円の場合 年利10.85%
差額1円の場合 年利 7.35%
差額2円の場合 年利 4.65%
差額3円の場合 年利 2.50%
差額4円の場合 年利 1.35%
※ここでは税金は考慮しません。
差額0円を選択した場合、1ドル=100円のままであれば、年利10.85%を受け取れるということです。
ただし、1ドル=100円より、円高になった場合は、ドルで預金を受け取ることになるという商品です。
また、金利は、年利表記なので、1カ月物の場合、受け取れるのはその“12分の1”となります。
ではここで、今後、急激な「円高」はないと考え、「差額1円」の設定で契約したとします。
そして、私の“読み”通り1カ月の間、1ドル=99円以上の「円高」にならなければ、私は以下の金額を「円」で受け取ることができます。
100万円+(100万円×7.35%÷12カ月※)=1006125円
※年利なので、12か月で割っています。
たった1カ月で、“6125円”の利息収入を得ることができました。
では、この時に、1ドル=95円まで「円高」が進行した場合は、一体どうなるのでしょうか?
契約時設定した“差額1円”、つまり99円より「円高」となったため、この場合は、預金を「外貨」で受け取ることとなります。
{100万円+(100万円×7.35%÷12カ月)}÷99円※=10162ドル
※為替は時価ではなく、「差額1円」に設定した
“契約レート99円”で計算されます。
さて、この時点で100万円投資した資金は、「円」では一体いくらになっているかというと、10162ドル×95円(現在のレート)=965390円となり、なんと“-34610円”の損失となってしまいました。
しかも、この場合、「円に戻す時」の為替手数料が、別途取られることになります。
複雑な仕組みにも感じるかもしれませんが、「最大の利益と最大の損失は、一体いくらなのか!?」といった視点で観ると、ある意味、非常にシンプルな商品であることがわかります。
次回は、「為替オプション付仕組み預金」の“商品特性”を、より深堀してみたいと思います。