こんにちは!
さて、前回に引き続き、今回は、「為替オプション付仕組み預金」の“商品特性”について、考えてみたいと思います。
前回お伝えしたケースでは、「1ドル=100円」が95円の「円高」になった想定で計算しましたが、これが90円、85円と「円高」が進めば進むほど、「円建」での“評価損”は、さらに大きくなっていきます。
すなわちこの商品は、設定した範囲の「差額」未満であれば、「固定金利(利息)」を受け取れますが、その「差額」以上になった場合は、大きく「損失」を受ける可能性のある商品と言えます。
従って、
利益の最大値は → “利息”(但し、年利なので12分の1)
損失の最大値は → 「円高」が進めば進むほどその時点の“為替差損”
という商品を購入していることになるのです。
これを別の言い方で表現すると、
「1ドル=100円のレートで、100万円の円を買う権利」を、
6125円で“売る”取引をしていることになります。
少し難しいかもしれませんが、このような取引のことを、「オプション取引」と呼んでいます。
つまり、投資家は、「オプション料」として利息を受け取り、その代わり「円高」の“リスク”を買っている(買わされている)という取引をしているのです。
投資家が受け取れる最大利益は、“金利(利息)”であり、それに対して“いくらになるかわからない損失”を、請け負っている契約なのです。
通常、このような「権利」を売って、オプション料を得るような取引は、金融の専門家やトレーダーが行うものです。
確かな「読み」が無い限り、大きな損失を被る可能性のある“オプションを売る”という行為は、大変危険だからです。
従って、このリスクを知ったうえで、購入する人は、「今後、ドルを必ず持つ必要がある」という明確なニーズのある方に限定されるでしょう。
ドル保有を前提とせず、投資の一環で考えるのであれば、「今後、必ず円安基調になる」という確固たる“予測”が出来る人しか向いていないといえます。
但し、そのような“予測”が出来る人は、このような商品を購入するのではなく、自分でオプション取引を行うか、FX投資などを行うと思います。
このような複雑な金融商品を、金融知識があまりない人に対しても、提供している金融機関には、やはり違和感を覚えずにはいられません。
“デリバティブ手法(オプション、先物など)”を、組み込んだ「仕組み預金」や「仕組み債券」は、名前に、「預金」や「債券」とついてはいますが、一般の個人投資家ではその中身や“内在しているリスク”が良く分からないため、是非ともご注意して頂きたいと思います。