こんにちは!
さて今回は、ますます高まりを見せる「資産形成」への取組みにおいて、重要な役割を果たす「資産形成アドバイザー」の現状について、取り上げてみたいと思います。
個人生活者にとって、自分自身の金融リテラシーの補完をしてくれるのが、まさに、「資産形成アドバイザー」の役割です。
以前もご紹介しましたが、現在日本では、官民が出資する金融経済教育機構(J-FLEC)の「認定アドバイザー」が、この役割を担うと期待されています。
今年の8月から本格稼働が始まり、当初は、500人規模の「認定アドバイザー」の確保を目指しています。
事業の柱としているのが、教育を担うアドバイザーの認定と、企業や学校への認定アドバイザーの派遣、そして個別相談です。
計画によれば、講師派遣は無料で、9月から実施が始まっています。
また、個別相談は、有料の場合、初めて利用する人を対象に、自己負担2割とするクーポンを配布する予定のようです。
すでに9月を過ぎ、現実に稼働が始まっているのかどうかは、定かではありません。
ではここで、J-FLECが明示している認定アドバイザーの要件を、確認しておきましょう。
①特定の金融機関に所属していない
②特定の金融機関からアドバイスの信頼性や公正性に影響を及ぼす可能性のある報酬を得ていない
③家計管理や資産形成に関するアドバイスの提供のために有益な資格と一定の業務経験を持っている
などとなっています。
また、行動基準も厳格に定められており、「公正かつ中立なアドバイス」を義務付けると共に、「利用者である個人の利益に資することにのみ専念しなければならない」と明記されています。
つまりは、相談者との間で、“利益相反”が生じないように、金融機関から報酬を得ることや、個別金融商品や金融機関の斡旋といった行為も認められないとしているのです。
上記を観る限り、現在、日本でIFAと称している金融商品仲介会社に所属するアドバイザーは、認定アドバイザーにはなれないという事になります。
“利益相反”の問題は、金融商品のアドバイスにおいては、常について回るものであるため、明確にそれを禁じている点は、評価できるのではないかと感じています。
一方、まだ改善の余地もあると感じている点もあります。
それは、個別相談において、「認定アドバイザーは個別銘柄のアドバイスはしない」としているところです。
“利益相反”となるような契約や立場でないにもかかわらず、何故、個別の運用プランに言及しないのかが、正直、残念といった想いです。
私は個人的には、今回の認定アドバイザーが、一般の方が、「iDeCo」や「NISA」を始めるにあたって、そのベースとなる具体的な運用プランをアドバイスすることが、最も、日本の「資産形成力」を高める第一歩だと考えていました。
もし、個別銘柄のアドバイスをしないとなると、現在、「資産形成(資産運用)」分野に詳しいファイナンシャルプランナーの個別相談と、何ら変わらない役割となります。
それを自己負担2割で提供するという事は、現在、「FP相談」を有料で行っている人たちのビジネス領域を侵害することにもなってしまいます。
今後、この辺りの境界線は変更になるのかどうかはわかりませんが、現時点では、「利益相反」を排除し、「個別銘柄を含めた運用プランの提供」ができるのは、いまだ、投資助言のライセンスを持った個人や法人のみという事になります。
私たちの役割は、以前から全く変わりませんが、より個人の方が相談しやすい仕組みの中で、切磋琢磨できる環境となる事を、心から願っています。
また、当社としても、より利用して頂きやすいサービスを目指し、引き続き尽力して行きたいと思います。