こんにちは!
さて今回は、新興国のマーケットについてです。
ここにきて、新興国市場からの資金流出が拡大しています。
米国の調査会社によれば、11月上旬の1週間で、新興国株式ファンドから、およそ74億ドル(約1兆1200億円)が流出しました。流出額は、2015年8月以来、9年3か月ぶりの大きさです。
また、株式市場では、中国株からの資金流出が続いており、1カ月の間に169億ドル(約2兆5500億円)と、過去最大ペースでの資金流出となりました。
10月上旬に、中国政府による景気刺激策で、過去最大規模の資金流入がありましたが、先般閉幕した全国人民代表会議で、追加の財政出動がなかったため、「期待外れ」との受け止めから下落が加速したものと思われます。
また、一時は期待されていたインド株式ファンドからも、4週連続で資金流出が続き、通貨ルピーが対米ドルで過去最安値を更新するなど、通貨安、株安となっています。
その他、ブラジル株式ファンドは9カ月ぶり、タイ株式ファンドも2年8カ月ぶりの大きな資金流出となりました。
また、資金流出しているのは、株式市場だけではありません。
新興国債券ファンドからも、投資家が資金を引き揚げています。
1カ月の間に、流出額は70億ドル(約1兆600億円)と、1年ぶりの流出規模となっています。
背景にあるのは、“米国経済の底堅さ”です。
11月に発表された米国小売売上高は、前月比0.4%増と、市場予想を5カ月連続で上回りました。
また、年末商戦を前に、個人消費が堅調に推移し、米国の利下げが予想より遅れるとの見立てから、米国の長期金利は、5か月半ぶりに4.5%台に乗せる場面もあり、各国通貨に対して“米ドル”が上昇しています。
ドル高の進行は、新興国のドル建て債務の膨張につながるため、新興国通貨の「売り要因」となります。
その結果、新興国の資産(株式・債券など)からも資金が流出している状況です。
この流れは、トランプ氏が大統領就任後も続く可能性もあるため、引き続き、注視する必要があるでしょう。
ただ、中長期の「資産形成」に取り組んでいる方は、ここで一喜一憂する必要はありません。
しっかりとプランを立てて、マーケットの変動をうまく利用しながら、「資産形成」を継続していきましょう。