さて、今回は、6月25日に発表された日本銀行の資金循環統計から、「現預金」について、考えてみたいと思います。
先週、『日本の金融資産の半分以上は、いまだ、現預金のままです。』と書かせていただきました。
その3日後に発表された日銀の資金循環統計によると、日本の家計部門の金融資産残高は、2021年3月末(速報)において、1,945兆7,887億円でした。
内訳をみると、現預金が、1,055兆7,809億円 となっており、率にして54.26%です。
これが「半分以上」の正確な数字です。
これに対して、株式と投資信託を併せた金額は、278兆5,031億円(14.31%)で、投資信託に限ると83兆9,826億円で、金融資産に占める割合は、“4.32%”しかありません。
日本人が、1年間汗水たらして必死に働いた総付加価値、つまりGDPは、約500兆円です。
1年間に働いた分の4倍の金融資産を、日本の家計部門は、持っていることになります。
しかも、そのうちの半分は「現預金」です。
つまり家計の金融資産のほぼ半分以上は、スヤスヤと眠ったままで、全く働いていないのです。
投資信託は金融資産全体の1/20、つまり100万円の金融資産を持っている人の場合、5万円にも満たない金額です。
確かに、定期預金100万円は、仮に利子が0%でも、100万円は守られます。
ただこれは今のように、インフレが起きていない状況でしか通用しません。
もし、物価が2倍になったら、定期預金100万円の「額面」は保証されても、「価値」としては、50万円と同じになってしまいます。
一つ1万円のものが100個買えたのに、物価が2万円になれば、50個しか買えなくなるからです。
これが、“インフレ”の怖さです。
従って、ただ“寝ている現預金”にも、少しは働いてもらわないと、将来インフレになったとき、家計は大きなダメージを受けることとなります。
まだ物価が落ち着いている今のうちに、将来や老後に備えるために、少しずつ運用の準備を始めてみてはいかがでしょう。
“寝ている現預金”を起こして、まずは「コツコツ資産形成」から始めましょう。