こんにちは。
さて、今回は、先週7日に米労働省から発表された2025年2月の雇用統計を、確認しておきたいと思います。
結論から申し上げますと、市場は“ほっとした”といった受け止めでした。
この“ほっとした”は、数字が想定をはるかに越えて悪いものでなくて良かったという意味です。
毎回注目される非農業部門の雇用者数は、前月より15.1万人の増加と発表され、16万人程度の増加を見込んでいた市場の予想を下回りました。
ちなみに、12月は30.7万人増から32.3万人増へ、1月は14.3万人増から12.5万人増へと、それぞれ修正されました。
上述のように、市場の反応は、「ひどい数字ではなくて良かった」といった感じで受け止めています。
市場がこのように神経質になっているのには、2つ大きな要因が考えられます。
一つ目は、トランプ大統領の政策です。次々に関税の話が飛び出す中、今まで株価を支えてきた金融界も、「本当に、大丈夫か?」と疑心暗鬼になりつつあります。
もう一つは、マスク氏が先頭に立って、政府職員を削減している影響が、どの程度この数字に織り込まれているかが、まだはっきりしないという点です。
長期の雇用を望む人が、短期的な雇用にまわっているという指摘もあります。
雇用情勢がどうなっているかを判断するには、もう少し時間が必要なようです。
いずれにせよ、あまり良いとは言えない指標を観て、市場は経済の見通しに弱気になり、株式市場は下げて反応しました。
ただ、その後に、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が講演で、“No need to hurry(急ぐ必要はない)”と、引き続き、金融情勢を冷静に観ていくといった発言が好感され、株価は前日比上昇して引けました。
今まで、「米経済は好調で、心配は好調過ぎて金利が下がらないこと」と言われていましたが、2月の下旬頃からは、むしろ景気の先行きを懸念する声の方が大きくなってきました。
雇用統計はもちろん、「インフレを示す指標」、「経済の実質の伸びを測る指標」等、今まで以上に、市場の注視が必要になってきたと言えそうです。