さて、今回は、先週6月4日に発表された米国の「5月の雇用統計」についてです。
4月に続き、5月も米労働省から発表された雇用統計は、事前の市場予測を下回りました。
非農業部門の雇用者数は、前月から55.9万人増えましたが、事前の市場予測(65万から70万人)は下回っています。
本来であれば、市場の予想より良くない数字のため、金融・資本市場は失望するところですが、この数字によって、「FRBが金融緩和を、急にやめることはない」との安心感で、NYダウ平均は、前日比179ドル高の34,756ドルと、0.51%上昇しました。
さらに、米国債10年物、30年物が、0.07%利回りが下落したことが、市場がいかに安堵したかを如実に物語っています。
確かに数字上は、現在でも、米国の就業者数は、コロナ禍以前の数字と比較して、760万人も少ない状況です。
仮に今後、毎月50万人ずつ、職を得たとしても、回復するには、あと15か月以上必要です。
つまり2022年の夏までかかるため、金融緩和の出口戦略の議論が始まるのは、「せいぜい2022年の初め前後だろう」という予想になるわけです。
しかし、予想はあくまでも予想です。
特に今の相場には、かなり期待感も含まれています。
雇用統計は元々、かなりブレの激しい経済指標のため、今後、大きく改善するかもしれません。
市場が、ニュースの良い部分だけに反応して、堅調に推移し続けている今のうちに、是非、「ポートフォリオ」の点検は、済ませておきましょう。