さて今回は、iDeCoとNISAの優先順位について、考えてみたいと思います。
両制度とも、皆さんに親しみを持ってもらえるように、わかりやすいネーミングとなっています。
最近よく耳にされる機会も多いと思いますが、内容をよく理解できていない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご説明いたします。
まず、iDeCoですが、こちらは、「個人型確定拠出年金」のことです。現在は会社員や公務員から、個人事業主、専業主婦に至るまで、60歳未満(2022年5月から65歳未満に引き上げられます)の方が加入することができます。
金融機関で口座を開設し、毎月掛け金を積み立てますが、そのメリットは、
1. | 拠出した金額は、所得税、住民税共に非課税 |
2. | 運用途中で、利益が出ても非課税 |
3. | 受給時に退職所得控除の税制優遇あり |
と入口(掛金)、預入期間、出口(受給時)に至るまで、非課税の特典だらけです。
では、デメリットはというと?
1. | 一度始めたら、60歳まで脱退できない |
2. | 受給可能年齢まで、死亡などの事由が無い限り、引き出しできない |
「60歳まで引き出せない」と、急に腰が引けた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは自分の老後のために加入する「自分年金制度」です。従って、途中で引き出せないからこそ、確実に老後のための資金を貯めることができます。拠出金の下限は、毎月5,000円となっています。
これに対して、NISAは年金制度ではなく、あくまでも「資産運用の制度」です。
上記iDeCoのメリットの「2. 運用途中で、利益が出ても非課税」、この部分がNISAのメリットとなります。但し、国の年金制度であるiDeCoにはないメリットもあります。NISAはあくまでも運用における優遇税制の一つですので、いつでも、引き出す事が可能です。また、年間の上限額は、120万円(2022年現在)までとなっています。
さて、優先順位としては、メリットの多いiDeCoに軍配が上がりそうですが、利用する前に考えて頂きたいことは、その「目的」です。
老後の生活資金を蓄えたいなら、言うまでもなく、iDeCoが選択肢となりますが、例えば、10年後の住宅購入の頭金や子供の入学金を準備したいとなると、60歳まで下ろせないiDeCoというわけにはいきません。税制優遇を活かして「資産形成」できるNISAが適していると言えるでしょう。
このように「目的」に応じて、使う制度を選択することが重要なポイントです。
さらに言えば、老後の生活資金も、それまでのライフプラン上必要な資金も、どちらも準備する必要がある以上、両制度は併用されるのが最も良い選択肢と言えます。
具体的な資金の割り振り方や運用方法などについて、もう少し詳しい話をお聞きになりたい方は、お気軽にご相談ください。