さて、今回は、しばらくぶりに注目を浴びた「米国の失業率」について、取り上げてみたいと思います。
先週、5月7日に、米国の4月の雇用統計が、米労働省より発表されました。
最近では、市場の話題は、コロナ関連や企業の決算発表などで、雇用統計の数字そのものが、脚光を浴びることは少なくなってきています。
そのような中、4月の雇用統計については、久々に、市場が驚かされました。
非農業部門の雇用者数が、26.6万人増えたというものです。
一見、大きな数字ではありますが、雇用統計の捉え方は、あくまでも“市場予測との差”になります。
今回は発表前の予測は、約100万人というものでした。
速報値とはいえ、100万人雇用が増えると思われていたのが、26.6万人だったという“大きなブレ”となったのです。
数字が出た瞬間は、米国10年国債の利回りは、前日の1.57%から1.47%まで、急低下しました。
このように、雇用された人の数が、予想より低かったことについては、様々な見方がされています。
よく言われる雇用のミスマッチや、経済対策で現金を手にした人たちが、まだコロナを警戒して職業についていないなど、様々な分析がされています。
そして、やはり不気味なのは、最低賃金が徐々に上昇しつつあることです。
そのような中でも、米連邦準備制度理事会は、経済の先行きに警戒をして、すぐに金融緩和を停止するような兆候は見られません。
あまりに、デフレーションの脅威にさらされ続けて、先進国は、「インフレーションのコントロール」は、「デフレーションとの闘い」に比べたら、よほどましというような気配すら感じさせられます。
明日や明後日に、急にインフレが起きるようなことはありませんが、少しずつ、デフレに慣れきった神経を、中立に戻すべき時が近づきつつあるようです。
いまだに「ポートフォリオ」の中で、債券関連の比率が高い方、今のうちに見直しをしてはいかがでしょうか。