こんにちは!
さて昨年、「貯蓄から投資へ」の一環として、岸田総理から発表された「資産所得倍増プラン」ですが、その後、各省庁での審議が行われ、昨年末にその骨格が見えてきました。
年末に公表された厚生労働省の資料から、私たちにより直接的に影響する内容について、3回に分けてお伝えしたいと思います。
<資産形成の手段として、iDeCo・NISAの拡充>
「人生100年時代」を見据えて、「貯蓄から投資へ」を促進するために掲げられたのが、今回の「資産所得倍増プラン」と言えます。
そして、その中核を担うのが、国の制度である「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」と「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」であることが、制度を拡充することにより、明確に示されたと言えます。
すでに両制度を活用されている方も多いとは思いますが、まずは現行の制度を確認しておきましょう。
- 現在(2023年時点)のiDeCoとNISAの制度内容
(1)「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」とは?
○国の確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度で任意加入 |
○自分で運用方法を選んで掛金を運用 |
〇掛金とその運用益との合計額は、公的年金(国民年金や厚生年金)と違い、将来、必ず自分自身で受け取ることができる「自分年金」 |
○掛金は所得控除、運用益は非課税、給付を受け取るときも退職所得控除を使えるなど、大きな税制優遇のある制度 |
○ 基本的に20歳以上65歳未満の全ての方が加入可能 |
〇60歳以降に老齢給付金の受け取りが可能 ※ただし、年金なので、60歳になるまで、原則として引き出し不可 |
主な利用目的としては、より豊かな「老後生活」を送るための“自分年金作り”と言えます。
(2)「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」とは?
〇国民が、より「資産形成」に取り組みやすいように作られた制度で、金融商品(株式や投資信託など)の配当金、譲渡益等に税金がかからない(非課税)証券口座 |
〇少額から利用が可能で、一般NISAは年間120万円×5年間=600万円まで、つみたてNISAは年間40万円×20年間=800万円まで利用可能 ※ただし、利用できるのは、どちらか一つだけ |
〇年金ではないので、いつでも解約し、お金を使うことが可能 |
従って、主な利用目的は、住宅の頭金、教育資金、旅行代金など、中長期的にまとまった資金作りに適していると言えるでしょう。
このように、現在でも大きなメリットがある両制度ですが、2024年から以下のように拡充される予定です。
- 「資産所得倍増プラン」によるiDeCo・NISAの2024年からの変更点
(1)「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」のここが変わる!
現在 | これから | ||
加入可能年齢 | 65歳未満 | → | 70歳未満 |
掛金限度額 | 自営業 月6.8万円 会社員 月1.2~2万円 専業主婦 月2.3万円 | → | 掛金の引き上げを検討 |
(2)「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)」のここが変わる!
現在 | これから | ||
年間投資上限額 | 一般NISA 120万円 | → | 240万円(2倍) |
つみたてNISA 40万円 | → | 120万円(3倍) |
※今までは、「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらかの選択制でしたが、これからは、両方の上限額を使えるようになります。
非課税期間 | 一般NISA 5年 つみたてNISA 20年 | → | どちらも無期限 |
投資上限額 | 一般NISA 600万円 つみたてNISA 800万円 | → | 合計投資枠1800万円 |
また、現在のNISAの年間枠120万円のうち、2022年・2023年分は、上記の1800万円とは別枠で利用できます(最大240万円)。
従って、まだ利用されていない方は、今年から始めることをお勧めします。
毎月の「積立投資」であれば、今年は月10万円×12か月=120万円、来年からは月30万円×12か月=360万円まで積み立てることが可能となります。
若年層はもとより、リタイア層にとっても、退職金の運用などに、NISAの非課税枠を最大限活かすことができるようになります。
今年のうちに、しっかりとプランニングしておきましょう。
ご相談は、こちらからお受けしています。
では、次回は、「中立的アドバイザー制度の創設」について、観ていきたいと思います。