こんにちは!
では今回は、「ドルコスト平均法」をご理解頂くのに、ケーススタディで考えてみたいと思います。
<ケーススタディ>
これからあなたは、「毎月1万円ずつ、6ヶ月間、Aというファンド(投信)に投資を行う」ことを決めたとしましょう。
従って、元手は、1万円×6ヶ月なので、6万円です。
このときに、このAファンド(投信)が、「上昇している相場」、「変動している相場」、「下降している相場」で、それぞれどう損益が変わるのか、考えてみたいと思います。
(ケース1) 「上昇している相場」
まず最初に、基準価格が上昇している相場で、考えてみましょう。
1月にAファンドの基準価格(単価)が、1口=1000円だったとしましょう。
従って、1月に1万円で購入できるのは、10000円÷1000円=10口となります。
次に、相場は上昇基調なので、2月は基準価格が1200円に上がったとします。
購入できる口数は、10000円÷1200円=8.3口となります。
※0.1口未満の端数は、ここでは四捨五入します。
同じく3月は1400円に値上がりしたので7.1口、4月は1600円で6.3口、5月は1800円で同じく5.6口、そして6月には、基準価格が1月の倍の2000円になったため、1万円で購入できる口数は5口となりました。
当然、1月から“一貫”して値を上げているため、「利益」が出ていることは、お分かり頂けると思います。
では、一体いくらになっているのでしょうか!?
それは、今まで購入した口数(ユニット数)合計に、現時点の「基準価格(単価)」を掛ければ、計算することができます。
上記の全てのユニット数の合計は、以下のように42.3口となります。
基準価額 | 購入口数 | |
---|---|---|
1月 | 1,000 | 10 |
2月 | 1,200 | 8.3 |
3月 | 1,400 | 7.1 |
4月 | 1,600 | 6.3 |
5月 | 1,800 | 5.6 |
6月 | 2,000 | 5 |
計 | 42.3 |
従って、42.3口×基準価格2000円ですので、84600円で売却できることになります。
結果、84600円(売却額)- 60000円(元手)=24600円の「利益」を上げることができました。
(ケース2) 「変動している相場」
では次に、変動している相場で考えてみましょう。
考え方は、(ケース1)と全く同じです。
まず、価格は以下のように動いたとします。
1月は1000円で始まって10口の購入です。
しかし、2月は基準価格が800円と値下がりし、10000円÷800円=12.5口になりました。
3月はさらに500円まで下がって20口、4月も同じく500円で20口の購入です。
5月は、800円に値を戻し12.5口、そして6月は、何とか1月の価格に戻って1000円で、10口の購入となりました。
基準価額 | 購入口数 | |
---|---|---|
1月 | 1,000 | 10 |
2月 | 800 | 12.5 |
3月 | 500 | 20 |
4月 | 500 | 20 |
5月 | 800 | 12.5 |
6月 | 1,000 | 10 |
計 | 85 |
もし、このとき元手である6万円を一括投資していれば、“ひやひや”しながらも何とか6万円に戻って、手数料分だけ“損”したというのが結果です。
では、積立投資の場合は、どうなったのでしょうか!?
総口数は、85口保有しているため、計算式は、85口×6月の基準価格1000円=85000円となります。
従って、85000円(売却額)- 60000円(元手)=25000円(利益)
何と、(ケース1)の上昇相場より、多くの「利益」を獲得することが出来ました。
(ケース3) 「下降している相場」
では、果たして下降している相場では、どうなるのでしょうか?
少し極端な例で、考えてみましょう。
まず1月は、今までと同じく、基準価格1000円で、10口購入できました。そして、2月は800円で12.5口、3月は500円で20口と、ここまでは、(ケース2)と同じです。
さて、ここからが大変です。
何と、基準価格は、いきなり1/10の100円にまで値下がりしました。
実際の株式市場においても、このようなケースを観ることがあります。
しかし、6か月間「買う」と決めたので、ここでも、自動的に買い続けます。
口数は1万円で、100口買うことができました。そして、同じく5月も100円で、100口。6月は何とか少し価格が戻って、400円となり25口の購入となりました。
さて、このファンドに、一括投資をしていたらどうだったでしょうか!?
たぶん、この6ヶ月間「寝つき」が悪く、朝起きても“憂鬱”な朝を迎えていたかもしれません。
6万円の元本は、半年経って、24000円になってしまったからです。
では、積立投資の場合は、どうなったのでしょうか!?
基準価額 | 購入口数 | |
---|---|---|
1月 | 1,000 | 10 |
2月 | 800 | 12.5 |
3月 | 500 | 20 |
4月 | 100 | 100 |
5月 | 100 | 100 |
6月 | 400 | 25 |
計 | 267.5 |
総口数は、100円の時も購入を続けたので、何と267.5口購入できました。
基準価格は60%も下がって、400円となっていますが、口数がたくさんあるため、267.5口×基準価格400円で、何と107000円の売却額となります。
従って、利益は、
107000円(売却額)- 60000円(元手)=47000円(利益)
を獲得することができました。
さて、ケーススタディを観てきましたが、ここでのポイントは、一体何なのでしょうか!?
それは、
「相場が“下げているとき”でも、一定額を“購入し続けて”いた」
ということです。
これによって、相場が下がった時に、口数をたくさん“割安”に購入することができたのです。
以上見てきたように、「下降している相場」であっても、利益を上げることが出来る可能性があるのが、この「ドルコスト平均法」を用いた積立投資の最大の魅力といえます。
ただ、ここまで解説した上で、逆に留意して頂きたいポイントがあります。
それは、
「だから、“ドルコスト平均法”は必ず利益が出る」
ということではないということです。
前述しましたように、「ドルコスト平均法」自体は、価格を平準化するためのものであって、この手法自体が、「必ず収益を約束してくれる」といったものではありません。
次回は、「ドルコスト平均法」で勝つために、絶対に守らなければいけない“重要な前提条件”について、解説したいと思います。