住宅ローン動向  増加を続ける住宅ローン残高 Ifa Japan

住宅ローン動向 ~増加を続ける住宅ローン残高~

こんにちは!
さて、私は「資産形成」アドバイス業務の一環として、国土交通省登録の公認不動産コンサルティングマスターや東京都防災・建築まちづくりセンター登録のまちづくり専門家としての仕事も行っています。

そこで今回は、私たちの生活に直結する日本の「住宅ローン」における最近の気になる動向について、取り上げてみたいと思います。

低成長を続ける日本経済ではありますが、そのような中でも、日本の住宅ローンの融資残高は、増加傾向となっています。

マイナス金利が導入された2016年以降、年2-3%ずつ残高は増え続け、今年6月末時点では220兆円を超えました。この10年間で、約40兆円増えた計算です。

一方、気になるのが「住宅の資産価値」です。2020年末の試算では、前年比より価値が下落となっています。

これには、日本人の住宅への意識が大きく影響していると考えられます。日本は、新築志向が非常に強いため、中古物件を修繕しても、なかなか価格に反映されない傾向があるからです。事実、日本の中古住宅のシェアは、市場全体の15%程度にしかすぎません。

このあたりは、住宅市場の80%を中古が占める米国と大きく違う点です。
米国においても、近年、住宅ローン残高は急増し、今年6月末時点では12兆ドル(約1680兆円)となっています。
そんな中にあって、適切に修繕をすることにより、中古物件の資産価値が上がることが珍しくないのが米国市場です。実際に、米国では、住宅ローンの伸び率以上に、資産額の伸びが大きくなっています。

つまり、住宅を買うこと自体が、「資産形成」に繋がっていると言えます。

これに対して、日本は、住宅(建物)は、減価償却していく消費財といった捉え方が主流です。従って、土地の資産価値は考えても、住宅自体の資産価値はあまり重視しない傾向があると言えるでしょう。

日本の住宅ローンにおけるもう一つの特徴は、変動金利で住宅ローンを組む人が多いという事です。住宅金融支援機構の4月の調査によれば、変動金利型を選ぶ割合が、73.9%だったとしています。固定型が主流の米国とは対照的な動きとなっています。固定型の最大の利点は、借入当初に、元本と利息の割合などが確定できることです。従って、自分の収入に応じて、計画的に返済することができます。

では、何故日本では、ここまで変動金利を選ぶ人が多いのでしょうか!?

それは、日本の金利が長らく上昇することがなかったからだと思われます。
特に、20代~40代の方は、「預金しても利息は付かない代わりに、お金は安く借りることができる」ことが、普通となってしまっているからかもしれません。

また、変動金利を選ぶ人ほど、頭金を少なくして、住宅価格の9割以上を借入している人も多く、諸経費を含め100%以上の融資を受けている人も約12%を占めると言われています。

しかしながら、今現在、50代後半以上の方は、昔の日本の金利水準を覚えていらっしゃることと思います。
預金金利は4-5%あった反面、借入金利は7-10%といった水準でした。

事実、私が31年前に起業した時の事業資金の借入金利は、7.5%でした。毎月返済しても、その多くが利息だったことを今でも記憶しています。

そう、当然のことですが、日本の金利も、いつかは上昇する可能性はあるのです。
実際に、もし日本で、住宅ローンの金利が0.1%上昇したら、国全体で約1100億円の利息負担が増加するといわれています。

現在、新型コロナウイルスの影響で、失業や減収となり、ローンの支払い猶予を受けている方は、10万件を超えています。

ここに金利上昇の追い打ちとなれば、その影響は計り知れません。
特に、住宅価格の9割以上を借りている方は、残債額も多く、前述のように住宅の資産価値が低下傾向にある日本においては、仮に住宅を売却しても、住宅ローン返済ができないという事態も十分あり得ます。

実際に、私はFPとして、そのようなお客様のご相談を相当数受けてきました。

変動金利で住宅ローンを借りている方は、是非、この機会に返済内容をしっかりと見直しておくことをお勧めします。

では次回は、「金利の上昇リスクとその対応策」について、解説したいと思います。

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