こんにちは!
さて、好調に推移する今年の市場ですが、そんな中、2022年度の公的資金を運用するファンド(基金)の運用実績が相次いで発表されました。
まずは、科学技術振興機構(JST)が運用するいわゆる「大学ファンド」について観ていきたいと思います。
当ファンドは、世界トップレベルの大学を育成・支援するために、政府が10兆円規模で創設したものです。
初年度となる2022年度の運用実績は、残念ながら、“-604億円(-0.6%)”の赤字という結果になりました。
初年度の運用方針として、財政基礎の安定性を優先したため、“リスク性資産”の比率を低く抑えたことが、結果として、マイナス要因となったと見られています。
今年3月末時点の運用資産の比率は、債券が55%、株式が17%となっており、株式では655億円の黒字となったものの、世界的な金利上昇によって、債券による損失は1263億円となりました。
当ファンドの基本的な考え方として、「運用益の範囲内で、各大学に助成を行う」としているため、成果が出なければ支援が難しくなる可能性があります。
ちなみに、アメリカのハーバード大学の基金は、約30年前に8000億円から運用を開始し、2019年には4.5兆円規模の基金となっています。
その運用対象は、上場株式や債券だけでなく、不動産や未公開株などを含めたオルタナティブ資産にも、広く「分散投資」を行っています。
今後、日本の大学ファンドも、運用戦略の見直しが必要と言えるでしょう。