公的基金の運用実績 その2公的年金gpif Ifa Japan

公的基金の運用実績 その2“公的年金GPIF”

こんにちは!

さて、前回は、いわゆる「大学ファンド」の運用実績をご紹介しましたが、今回は、より私たちの生活に大きな影響がある「公的年金」を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2022年度の運用実績です。

GPIFは、世界最大規模の機関投資家で、運用資産は約200兆円に上ります。
運用を開始したのは、2001年からで、この22年間の累積収益額は、108兆円となっています。

2022年度の運用実績はというと、結果は、2兆9536億円の黒字を計上することができました。
資産別の運用実績を観ると、国内株式が2兆7288億円、外国株式が1兆1327億円の黒字となったのに対し、国内債券は-8517億円、外国債券が-562億円の赤字となっています。

まさに、2022年は、「株式の利益で債券の赤字を穴埋めした年」となりました。

世界的なインフレ対策で、日本を除く各中央銀行が金利を引き上げたため、債券価格は大きく下落しました。一方、3月末の日経平均は、昨年対比7%上昇すると共に、円安の進行で、外貨建て資産の価値を押し上げることができました。

GPIFの運用戦略は、「値動きの異なる資産を組み合わせて、安定的な収益確保を目指す」ことにあります。
現在は、国内外の株式と債券に、各25%程度を配分する「分散投資」を基本としています。

そして、価格変動によって、資産構成比に変動が出た場合には、割合の高くなった資産を売り、低くなった資産を買う、いわゆる「リバランス」を定期的に行っています。

このとき問題となるのが、GPIFのリバランスに伴う、市場への影響です。
ファンドの規模が大きいため、資産の0.5%の売りでも、1兆円規模となります。

ちなみに、証券会社の試算によれば、1兆円の売りは、国内株式相場を、2.4%押し下げるとみられています。

従って、GPIFは、市場に極力影響を与えないように、リバランスすることに細心の注意を払っています。GPIFは、その大きさ故に、“クジラ”と称されることがあります。
この“クジラ”の動きに、市場関係者は、常に注視しているのも、うなずけるところです。

さて、前回と合わせ、2つの政府系ファンドの運用実績を取り上げましたが、ここでの教訓の一つは、『“リスク性資産”の比率を下げたからと言って、マイナスにならないわけではない』という点です。

そして、もうひとつは、やはりマーケットがどのように動いても対応できるように、『“分散投資”の重要性』ではないでしょうか。

個人の「資産運用(資産形成)」においても、是非とも参考にして頂きたいと思います。

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