さて、今回はヘッジファンド手法のひとつ「マクロ・インベスティング」を取り上げてみたいと思います。
マクロ・インベスティングは、一般的には“マクロ投資”と呼ばれ、ヘッジファンドの“先駆け”となった運用手法です。
有名なヘッジファンドマネージャーであるジョージ・ソロスやジュリアン・ロバートソンなどが、マクロ投資で一躍有名になった人たちです。
株式市場や為替相場、商品相場などにおいて、“価格と価値”の極端な不均衡(アンバランス)と、それが今後どうなっていくかという趨勢(トレンド)を発見して、時には資金にレバレッジを掛けて、投資を行います。
従って、特定の市場というよりは、グローバルな経済や政治の出来事(イベント)が、投資対象にどのように影響するかを予測しながら、投資機会を探る投資手法といえます。
その意味では、“投資タイミング”が、非常に重要なポイントとなります。
マクロ投資は1990年代、ヘッジファンド全体の50%近いシェアを占めていましたが、最近では低下傾向にあります。投資自体が、ファンドマネージャーの大局観や予見能力が大変問われると共に、レバレッジを掛けて大きな資金を動かす為、大きな利益を得られる反面、リスクも高くなるためです。
ちなみに、1990年1月~1998年3月の期間において、マクロ投資ファンドの平均利回りは23.09%、標準偏差は9.39%と、目を見張る成績を挙げていました。最近では、マクロ投資だけというよりは、「ファンドオブファンズ」の中に、一つの手法として組み入れられているものが、散見されるようになっています。
マーケットの“価格変動(ボラティリティ)”が、非常に高くなっている今、どこかに“バイアス”を掛けにくい市場環境を、表しているとも言えそうです。